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工房レストアの『こんなんやってまんねん』

大阪で文化財の修復やレプリカ製作を行っている「工房レストア」のブログです。  文化財修復・レプリカ製作のお仕事やスタッフの日常についての「こんなんやってまんねん」を紹介しています。

 

新しい取り組み?お客様に手伝って頂きました! 

みなさま。こんにちは~。

私たちが地域資料(史料)を残し、伝えていく為にはどのようにすればよいのか?
修復はあくまで最終段階、それまでに出来る事(保存活動)を広める。
しかし、一般に資料保存・修復はまだまだ知られていないと思います。
国宝や重文クラスの指定物は、保護されても個人様の所蔵物は、保存や修復ができる機会を逸している事が多いと思われます。
まして修復となると、敷居が高いイメージがあるように思います。(私個人の見解ですが・・・)

前置きが長くなりましたが、こういった事を少しでも軽減できればということで
お客様に協力して頂き、掛軸修復取材を掲載させて頂く機会を得ました。

今回も依頼者ご夫婦にご協力して頂き見学と体験に来社して頂きました。
前回の様子は、10月22日のブログです。

講に使われていた軸ですが、お預かりした時の状態は、本紙の劣化が進み、折れが発生し裏には破れた部分にセロテープが貼られていました。刷物で洋紙の為劣化が進み、バラバラになるのは時間の問題でした。

セロテープ

作品解体後、ドライクリーニングで埃を取り除き、滲み止めを行い、作品の水洗いを行いました。

水洗い

作品が洋紙だった為、脱酸処理(酸性紙を中性化する)を行い旧裏打紙を除去((肌上げ)しました。
その後、作品に新しい美濃紙を使用して裏打ち(肌裏)を行い、乾燥後に本紙の折れや亀裂の部分に予防や補強の為に薄美濃紙の帯(折れ伏せ)を行いました。

折れ伏せ②

作品の乾燥後に付回しの工程に入ります。この段階で見学と体験をして頂きました。
裂地を断裁した時に出るほつれを直し(糊止め)、付回し(裂地を貼る?・・組み立てる)ていきます。
実際に体験して頂きました。
付回し④
今回は仏表具(専門用語では、表補表装・・真の行)の形式の付回しです。本紙は十三仏で元の表装スタイルと同じにしました。

付回しが終わると次は増し裏打ち(肌裏打ち後、本紙や裂地の補強と厚さ調整の為に行う)です。
美栖紙など肌裏打ちより薄い糊(今回は正麩糊)で密着させます。
この作業も体験して頂きました。

増し裏打ち①

お二人とも初めての体験でしたが、上手にされていました。
見学中には、「今までこんなにじっくり注目はしていなかった」「仏様の顔がくっきりして微笑んでるように見える」また体験では、「聞くと見るだけでも違うのに、実際やって見ると大変な作業だと解りました。」とご意見を頂きました。
「今回の見学・体験で明らかにこの掛軸に対する想いと意識が変わりました」と大変嬉しい言葉を頂きました。

少しでも多くの方々に、このような場を作っていくと、お客様とのミスマッチも防げ、大切な作品を預ける不安も軽減でき、修復や保存の新しい仕組みが出来るのではないかと思いました。

私どもも初めての試みで、長時間の作業や気使いをさせて大変お疲れになったと思います。
自分のペースで進めてしまいもっと効率よく進めなければと反省点も多々ありました。

今回もご協力頂きました、ご夫妻にはこの場を借りてお礼申し上げます。
ありがとうございました

まご











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category: 日常のこと

tag: 修復 

先人の知恵 

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ぽんきちです。
先日、灘の酒造り唄保存会さんによる「灘の酒造り唄子供教室」に行ってきました。
灘の酒蔵で杜氏や蔵人たちに作業唄として伝えられてきた唄が酒造の近代化により忘れられていくことを惜しみ郷土芸能として残すため保存活動を行われています。
今回は「神戸ビエンナーレ2015」の協賛企画として「浜福鶴 吟醸工房」で行われたものに参加しました。

元々は娘が学校でもらったチラシをみて何を思ったか行きたいと言うので嫁さんが申し込んでいました。
大人の付き添いがいるとの事で、日本酒も好きだしお酒造りの工程も見れるとの事でついでのつもりでした。

当日は生憎の雨でしたが小雨の降る中、保存会の方達が説明を加えながら酒造りの各工程で唄われた唄を公演して頂きました。




上の動画は「もと摺り唄」と言い、蒸し米と麹・宮水を半切り桶で摺り潰しモト(酉元)を作る工程だそうです。
ちなみにこの作業を行わずにモトを作るのが山卸廃止モト(やまおろしはいしもと)通称山廃なんだそうです。

最初は単に郷土芸能として、いい声だなぁと見ていたのですが後々説明を聴いていくとそれだけではないことが分かってきました。

機械化される前の酒造りでは、杜氏のもと15~16人の蔵人たちが力を合わせて作業行っていました。
人力による単調で長時間に及ぶ作業では力加減、スピードなど個人差が生じやすくそれは品質の差につながってきます。
また、一定した品質のものを造るためには、それぞれの工程の作業をどのくらいの時間行うか一定したものでなければなりません。
現在は当たり前に時計があるので時間を計るということに意識することがありませんが、昔は一日や半日などはともかく短い単位での時間を一定に計って保つのは難しかったと思います。

そしてこれら品質の均質化・作業工程管理などの役目を行うのが酒造り唄だったそうです。
すなわち皆が唄のリズムに合わせる事で力加減・スピードを均一化し、決まった節まわしの歌を何番まで何回唄うかによって作業時間の一定化を計ることができる。
また、辛く単調な重労働の気持ちを紛らせる疲労軽減作用もあるとの事で、本当に先人の知恵には感心させられました。

公演と子供教室の終了後、先人の知恵と蔵人達の努力に敬意を表すため純米吟醸を(嫁には黙って)買わせて頂きました。
辛口ですっきりと飲みやすくとても美味しかったです。

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