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工房レストアの『こんなんやってまんねん』

大阪で文化財の修復やレプリカ製作を行っている「工房レストア」のブログです。  文化財修復・レプリカ製作のお仕事やスタッフの日常についての「こんなんやってまんねん」を紹介しています。

 

謹賀新年 

新年あけましておめでとうございます
令和4年、みなさまが良い年になるようお祈りいたします
本年もどうぞよろしくお願い致します

今年は寅年!

昨年に続き干支の置物土台を作ってみました。
丑の牧場風から竹林風に改造してみました(笑)

寅置物

「虎は死して皮を残し、人は死して名を残す」ごとく
みなさまのお役に立ち、求められる存在になれるよう社員一同努めてまいります。
今後ともご指導・ご鞭撻のほど、どうぞよろしくお願い致します。
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category: ご挨拶

ドキュメンタリー映画「明日をへぐる」を鑑賞しました。 

みなさんこんにちは、こんちゃんです
今年の12月は例年に比べて少し暖かいように感じます。
油断してると一気に寒くなりそうなので気を引き締めていきたいところです
さて先日、東京田端にありますミニシアター、シネマ・チュプキ・タバタでドキュメンタリー映画「明日をへぐる」を見に行ってきました。

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「明日をへぐる」は和紙の原料となる楮(こうぞ)を中心に、高知県いの町に住む人々の歴史・暮らしを記録したドキュメンタリー映画です。
実は工房レストアではこの高知県いの町産の和紙を使用していまして、いの町神谷地区の鹿敷製紙さんにお世話になっています。いつもありがとうございます 映画の中に鹿敷製紙さんが登場すると伺い、また楮栽培・加工の現場を見たことがなかったので少しでも知りたいと思い映画を見に行ってきました。

映画では、いの町の人々の暮らしの歴史・楮とのかかわり・そして今の状況が年間を通して記録されており現地の空気感を感じることができました。
収穫された楮を和紙原料にするためには、様々な工程を踏む必要があります。
いの町の楮農家の庭には、直径1メートルはある巨大なかまどと高さ2メートルもの巨大な「こしき」があり(上記画像のパンフレットに描かれてあるのが「こしき」です。)、それで蒸した楮をみんなで手分けして皮をはぎ、更にそこから外皮を取り除く「へぐり」という作業が行われます。

作業されている高齢者の皆さんはとっても元気で仲良し!和気藹々とした雰囲気にほっこりしました。
しかし、この映画には山里の暮らしでよく見られる「豊かな自然」「人々のつながり」「ほっこり」だけでは、決して済まされないものがありました。


上記の作業はこれまで、結(ゆい)と呼ばれる地域の繋がりによって保たれてきました。
しかし担い手の減少によりそのコミュニティ自体も失われつつあり、有志の方々がなんとか繋ぎとめている状況なのです。

また実にさまざまな問題が現在進行形で起こっています。

楮栽培を続けておられる農家の多くが80代、90代の高齢者であること。

サポートされている方々の年齢も決して若くはないこと。

(現地の方の言い方を借りると)楮の栽培は「機械ではもう全然できん」ため多くのコストがかかる上に「収入(的に)生活できる者がおらんなった」ため、新しく始めるのも続けるのも難しいこと。

高度経済成長に伴う大規模植林によって農家の多くが楮栽培をやめたと同時に、山の環境が大きく変わってしまったこと。

和紙そのものの需要が減少していること…
それでも、コツコツと助け合って作業に取り組んでおられる、いの町の楮栽培と和紙生産に関わる方々の姿に非常に衝撃を受けました。


これまでもメディアや書籍の中でそういった情報を見聞きはしていましたが、やはり映像が訴えかけてくるものは相当でした。
御年92歳の筒井さんが急斜面をスタスタ歩きながら、楮の蕪に生えた苔をブラシで一つ一つ掃除していく姿は忘れられないものとなりました。なんて手間のかかる栽培なのでしょう…。
私は、今まで生産者さんのことを何も知らないまま和紙を使わせてもらっていたと感じました。

この映画には先述の鹿敷製紙さんも出られており、私たちが使用している和紙が生産されていく様子も少し紹介されていました。

筒井さんが育てた楮が地元の方々によって収穫され、トラックに積まれて、鹿敷製紙さんに運ばれていくのを見たとき、あぁ筒井さんは遠い国の人ではなくて今まさに自分と繋がっている…いの町の山で生きている小さな楮の蕪が、筒井さんや多くのボランティアさん達のこまめな世話によって成長し、丁寧に収穫されて原料へ加工され、漉き元さんへ渡り、和紙となって…レストアでお預りさせて頂く資料に繋がると実感を持って迫ってきて自然と涙が出てしまいました。


今回の上演には今井友樹監督の舞台挨拶もあり上演後に少しお話させていただきました。
「若者はどのくらい結に入ってるんですか?」と伺ったところ「いやぁ全然、いないですねぇ。この地域にそもそも若い人があんまりいなくて。すれ違うトラックに若い人が乗ってたら「あ!」て思うくらい、いないんです。」と教えてくださいました。
修復によって資料を1,000年以上も先の未来に繋げていける和紙(楮)を、何の気負いもなく生活の一部として淡々と扱っていく現地のお年寄り達の姿から、私たちの生活の中で失われてしまったものを感じて貰いたいと仰っていました。


和紙原料の生産の衰退を喫緊の課題として取り組まなければならないのと同時に、地域の繋がりを保ちながら日々の暮らしをコツコツと過ごしていくこと、苦しい状況の中でも楮栽培が持続できるようサポートされている方々の姿勢から得られるものは多く、そこからまた私たちが何かお返しをしていかなければならないと思いました。


ドキュメンタリー映画「明日をへぐる」は全国各地のミニシアター・地域施設の自主上演会にて公開されています。
和紙や資料修復にかかわりのない方でも興味を持っていただける映画かと思います。是非ご覧になってみてください!
シアター・スケジュールについてはこちらからご覧ください。

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東京都内ではシネマ・チュプキ・タバタにて17日(金)まで公開中です。
ユニバーサルシアターなので、聴覚視覚障がい・発達障がいの方も一緒に鑑賞できますよ

また、鹿敷製紙さんはインスタグラムで頻繁に情報発信をされています。
楮作業手伝いのスケジュール・呼びかけもされていますのでご興味ある方はチェックしてみてください!

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今井監督にサインを書いていただきました ありがとうございました!

category: 日常のこと

「川崎市市民ミュージアム被災後活動報告展」に行きました 

みなさんこんにちは、久しぶりのブログ更新となってしまいました。こんちゃんです
急激に寒くなってきましたね!体調管理に気を付けていきたいところです。

さて先週末、神奈川県川崎市にあります東海道かわさき宿交流館にて開催中の「救う過去、つなぐ未来―川崎市市民ミュージアム被災後活動報告展―」に行ってきました。

ご存じのない方に少しご説明させていただきますと
2019年10月に大型台風19号が上陸し、大雨で多摩川が氾濫しました。武蔵小杉のタワーマンションの被災が全国放送されたことは記憶に新しいかと思います。その時、多摩川からあふれ出た大量の水が川崎市市民ミュージアムにも流れ込み、地下にある9つの収蔵庫を襲いました。水は2メートルにまで達し収蔵品のほとんどが水損してしまいました。その数なんと約23万点。甚大な被害です。

これまでも川崎市市民ミュージアムさんのHPやSNSで収蔵品レスキュー活動の情報は発信されておりそれは以前から見ていたのですが、今回展示で報告が見られるとのことで、工房レストアでは私だけ関東在住ということもあり見に行ってきました。
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(かわさき宿交流館さん。常設展では東海道における川崎宿の当時の様子や歴史、川崎市の歴史などが紹介されています。)

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会場内では収蔵品の被災状況とレスキューの流れを収蔵庫別に紹介し、被災したその日から現在に至るまでどのような形で活動が進められてきたかが網羅的に紹介されています。被災前の収蔵庫内の写真も少し紹介されており、被災時の写真と見比べることで深刻さがよりリアルに感じられました。
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被災した物品や当時使用された道具も展示されていました。この活動にはこれまで約5,900名の方が参加されています。膨大な数のレスキューに対応するためには、人員だけでなく道具も相当な数が必要だったと思うとそれだけで圧倒されました。

私が個人的に印象に残ったのは考古資料のレスキュ―です。弊社は土器や埴輪などについては技術的に専門外のため、初めて知る情報が多く興味深かったです。「収蔵庫全体にグリッド(線引き)をしどのグリッド内に落ちたものか記録することで、破損しバラバラになったパーツを繋ぎ合わせる際の手がかりとする」といったノウハウは、紙製資料の修復においても活用できると思いました。保存性・可逆性の為に押さえなければならないポイントは他にも沢山ありますが、やはり修復作業において大切なことは兎にも角にも「記録」であると思いました。
また歴史資料や美術資料は、修復工程を見ることで私たちが普段行っている作業の意味を改めて認識することができました。自分の仕事を客観的に捉えられる機会になり大変勉強になりました。
また修復工程の紹介を拝見して、私たちももっと丁寧にお客様にご説明しなければならないと痛感しました…何をやるかだけではなく何の為に行うのかきちんとご説明することが、資料の理解や保管環境の改善に繋がっていくのですね。

工房レストアも過去水損資料のレスキュ―に参加したことはあるのですが(こちらで前後写真を掲載しています)実は私自身はレスキューに携わる機会がこれまでありませんでした。技術的なことは見聞きしていても肝心の現場を知らないため資料レスキューについての理解に穴が空いている状態でして、今回のほんの少しでも埋めることができて良かったです。
普段携わらせていただいている修復と地続きではありますが、資料レスキューは緊急性が高く、作業者自身も過酷な状況の中で行わざるを得ない点を考えるとやはり技術的なことは勿論、保存科学から情報共有の仕方までもっと調べて幅広く勉強しないといけないと感じました。
まだまだ知らないことばかりですが、私自身もっと積極的に資料レスキューについて勉強して将来どこかで何かの形でお役に立てられればと考えています。
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(資料剥離、カビ払いに使用された道具たち)


さて、この展示会の内容ですが一部インターネット上で公開されています。

会場内でも流れていた映像ドキュメンタリーです。40分もの長編ではありますが是非ご覧いただきたいです。

また川崎市市民ミュージアムさんのホームページでは連載企画として、レスキューに携わられた方々のコメントや保存・修復工程が紹介されています。まだの方は是非ご覧になってみてください。




category: 出張

修復に使うお水について 

皆様いかがお過ごしでしょうか。
こんにちは、ひつじです。

8月の始めはクマゼミがやかましいくらいに鳴いて夏を感じていましたが、
長雨が明け、最近はツクツクボウシや夕暮れにはヒグラシが鳴いていて夏の終りを感じます。
夏は花火大会やお祭り、海や川で泳いだり、山でキャンプしたり、お盆には帰省をして家族と過ごしたり、
たくさんの思い出が出来る季節だと思うのですが、去年に引き続き自粛せざるおえない状況です。
大変な世の中でございますが、早く安心して過ごせる日常がくることを願うばかりです。どうか皆様ご自愛ください。

さて、先日浄水器のフィルターを交換して頂きました。

普段何気なく使っている水道水ですが、不純物が含まれており作品修復や糊作りには適していない為、
弊社では浄水器でろ過した水を使っています。
ろ過をすることで遊離残留塩素やカビ臭、総トリハロメタンなどの有機塩素化合物を多く取り除いてくれます。

今回は修復に適した水にしてくれる重要な浄水器フィルターの交換の様子を紹介したいと思います。

まず管の中の水を抜き、フィルタータンクを外します。
タンクを外す

フィルタータンクの中の古い濾材を抜きます。(黒いのは活性炭等です)
タンクの中の古い濾材を抜く(活性炭等)2

フィルタータンクの中に新しい濾材を入れていきます。
タンク中に新しい濾材を入れる

フィルタータンクを設置し、管を付け、水を通します。
水の中の不純物が取り除かれているか確認して完了です。
フィルタータンクをセットする3

タンクの中にぎっしりと詰められている濾材をかきだす作業は本当に大変だと見ていて思いました。
これでまた一年安心してお水を修復作業に使えます。本当にありがとうございました。

修復作業は日々の道具のメンテナンスや環境を整えることが大切です。
今回はその一部を紹介させて頂きました。

長文失礼いたしました。読んで頂き誠にありがとうございます。

ひつじ









category: 日常のこと

テレワーク、始めました。 

みなさんこんにちは。こんちゃんです
雨が多くジメジメとした日が続いていますね。朝昼晩の気温差も激しい時期です。体調管理に気をつけていきたいところです。

さて今日はレストアの新しい働き方をご紹介します。
先月から、工房レストアは「テレワーク」を開始しました!

少し自分の話を書かせていただきます。
2年前に家庭の事情で東京に引っ越すことになりレストアを一度退職させていただいておりましたが、この度ご縁があり、社長はじめ社員の皆さんのご厚意でまたレストアで働かせていただく運びになりました。
しかし私の身体は東京にあります。大阪の工房で働くことはできません。
そこでテレワークをやってみよう!ということになったのです。
まだ設備やシステムを色々整えている最中ですが、少しずつ形が見えてきているかな?といった段階です。

昨日からタブレット端末を工房に設置しています。
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タブレットは常時、私の家の端末とテレビ会議(zoom)で繋がっています。
私は常に工房の様子が分かります。工房のメンバーがタブレットに向かって声をかけると、私がすぐ応対できるようになっています。逆に私が「社長~」「工場長~」「○○さ~ん」と声をかけると、タブレットの前に来てくださいます。
朝礼も毎朝テレビ会議で参加しています。みんなと一緒に経営理念とクレド(行動指針)を読み、自分の目標を話すのも大阪の工房にいた頃と同じようにしています。誰かが目標を話したら拍手をするのも端末の前で、みんなと一緒にやっています。

私は東京でひとりの空間にいますが、すぐ近くで作業の音やメンバーの声が聞こえるからか工房の雰囲気が意外とよく分かり、安心感を持って仕事ができています。
今工場長がパソコンの前にいるなとか、後輩が社長に質問しに行ったなとか、板張りされた掛軸がカメラの前を横切ると「あ、あれ外へ干しに行くんだな」と思ったり…色々わかることが多いです。
Image202107140936102.jpg
(その日の夕方後輩からこれが送られてきて「あーやっぱり!」と思いました。笑)

運送会社さんの出入りもわかります。みんなが配達員さんに「ありがとうございました」と声をかけるとき、実は私も端末の前で「ありがとうございました~」と言っています。誰にも聞こえてないのに……笑
みんなと同じ空間にいるような感じがして、楽しいです。

まだ試行錯誤の途中ですが少しずつ働く環境を整えていき、工房のバックオフィスとしてしっかり機能していけるように頑張っていきたいです。また、関東にいらっしゃるお客様にも会いに行けたらなぁとも思っています。
東京にもレストアのスタッフ、います!関東一円どこでも伺います
今後ともどうぞよろしくお願いします♪

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(我が家のテレビ会議端末。急ごしらえ感がすごい

category: 日常のこと

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